2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

婚活小説 『高慢と偏見』

普段はあまり「ラブストーリー」と銘打たれたものに食指が伸びない。嫌いなのではなく、自分にはその魅力やおもしろさがよくわからず、大抵楽しめないからである。『高慢と偏見』なんか「世界文学屈指のラブストーリー」と背表紙に書かれているくらいでとて…

ビニール傘考

序 梅雨はすぐそこ。そろそろあじさいも咲きごろ、花言葉は「移ろい」。 夜明けの空はあじさいの色をしていることがある。あじさいは漢字で紫陽花。「ああ、紫の陽ね」…と今思ったおれは紫色が好きなのだが、どっこい、この色、「欲求不満」を表すそうな。 …

エヴァ、観た、やっと

いやーついに、やっと、『新世紀エヴァンゲリオン』(TVシリーズ+「Air/まごころを、君に」)を観た。 ちなみにこのエントリーは、エヴァの感想ではなく、エヴァにまつわる個人的な捉え方や体験を書きます。 最近は「グランドセオリー」とか「ビッグ…

向こう側にウサギは何を見たのか 『真昼のプリニウス』

「見た目はチワワで、中身はドーベルマン」というのか、けっこう過激な小説だ。 『千の顔をもつ英雄』のエントリーで「今の人には物語が足りないんじゃないか」という話をちらっとしたけど、この小説はこれに正面からぶつかってくる。「反対だよ。何でもかん…

子供たちが産み落とされるこの街、人々 『セブン』

たとえば「小説」と呼ばれるジャンルを独りである程度掘り下げていると、その世界がどんどん広がり深まっていくと同時に、基本的に自分の興味・関心を軸としているわけだから、進む方角に無駄がなくなりブラッシュアップされていったり、あるいは頭打ちにな…

物理学的に言うと、神は変幻自在のギャンブラー也 『物理学と神』

文型だったおれの理系アレルギーをふっ飛ばしてくれた一冊。 近代科学はヨーロッパで芽を出した。当時のキリスト教徒たちは神から2つの“書物”を与えられていると考えていた。その一つは、言わずと知れた聖書である。もう一つは、“自然”。近代科学はその自然…