鬱な気分だと思ったらやってみるとよいこと

 高2の夏休み明けくらいから日記を書いているのだけど、大学に入学する頃まで、気持ちが沈んだり億劫だったりするようなときの状態を、常におしなべて「ウツ」の一言で済ましていた。たとえば「今日は〇〇があってウツになった。」とか「明日は早起きしなくてはならない。ウツだ。」みたいに。

 あの当時はちょうど、「鬱」という言葉が、実際に鬱病ではなくても「塞いだ気持ち」とか「沈んだ気持ち」を表すときの日常語として使われるようになった時期でもあった。また、そういう気分や気持ちを他の言葉で表現できる能力におれ自身乏しかったということも手伝って、とにかく何でも「ウツ」と書く癖があった。

 ふと思って、それまで「ウツ」とカタカナで書いていたところを、こんだけよく使うのだからと辞書を引き、漢字で書くようになった。しかし当初は、画数が多く、けっこう入り組んだ構造をもつこの「鬱」という字をなかなか空で書けず、辞書を引き直す作業を幾度か繰り返した。

 そしてあるとき、辞書を引かずに何気なく、さらさらさらっと書けたのだった。その瞬間、ふいに妙な達成感を感じた。また、気分がスッキリしたのだった。

 「鬱」という漢字を書いたことによって…なんと、「鬱な気分」が取り払われていたのだ!!なんという発見!

 最近は「鬱」という字にお世話になることはまったくなくなってしまったけれど、そんなことがあったので、「鬱」という漢字が常用漢字に仲間入りする前から、おれはこれを書ける人だった(内心ちょっと得意だった)。

 とりあえず、「今日は鬱だなぁ…」なんて気分のときは、ためしに、紙に「鬱」と漢字で書いてみてはいかがでせう。

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