プリペアードピアノの遊奏 Hauschka『Salon Des Amateurs』

 
 3ケ月ほど前、最寄のタワレコのこじんまりとした「音響系」コーナーの棚を眺めていたとき、タイトルに目が留まって棚から引き出し、ジャケットを見てみて、確信、その場で購入した。ジャケ買い。間違じゃなかった。

 これだ!

Salon Des Amateurs

Salon Des Amateurs

 買ったその日に早速聴いてからというもの、何度も繰り返し聴いている。まったく飽きが来ない。反復を基調としている点ではミニマルと言えるのかもしれないけれど、最小限の音でシンプルに…かというと、ちょっとちがって、わかる範囲で言えば、チェロ、ヴァイオリン、トロンボーン、ドラム、さりげなく電子音と、いろんな音が参加してきて、音の微粒子が弾み、転び、遊び、空間に満ちる。オーガニックな感じが良い。釣られてこちらの身体もうごきだす。聴けば聴くほど楽しい。

★リード曲「Radar」

 どうやらプリペアードピアノという、弦に細工―ゴムやフォークを挟んだり、ピンポン玉を貼り付けたり、フリスク載っけたり―を施した、打楽器的な響きともなる特殊なピアノの音らしい。数日前になってはじめてこの楽器を演奏している様子を動画で観たのだが、1つのピアノでここまでか!?と驚くほど様々な音色が溢れてくる。「いろいろな音が聞こえてくる」→「いろいろな楽器がそこにはある」と単純な図式を思い描きがちなおれとしては、目が点だった。先述した「いろんな音が参加して」の「いろんな音」とは、実際には、大部分がこの楽器の音色なのかもしれない。

★プリペアードピアノ演奏の様子(Hauschka本人)

 ちなみに、Hauschkaは「ハウシュカ」と読む。ドイツのピアノ奏者・作曲家であり、すなわちアルバムのタイトルはドイツ語—「ザロン・ダス・アマチュア」と読む。